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【歯科医師、歯科衛生士向け】自家歯牙移植で咬合支持を獲得した症例 | 王禅寺歯科クリニック|川崎市の歯科は新百合ヶ丘・たまプラーザ駅近く

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王禅寺歯科クリニック スタッフブログ

【歯科医師、歯科衛生士向け】自家歯牙移植で咬合支持を獲得した症例

作成日:2015年10月21日(水)

こんにちは。院長の三橋です。

今回は『義歯の再製(ぐらぐらで咬めない)』について書かせていただきます。

・患者様:70代男性
・主訴:義歯の再製 ぐらぐらで咬めない 全身疾患;高血圧症、前立腺肥大

1. 初診時

症例:義歯の再製



初診は2004年6月。77歳男性です。主訴は義歯の再製希望とぐらぐらでかめないとのことでした。全身疾患は高血圧症と前立腺肥大がありますが、コントロールされています。

口腔内は20歯残存、アイヒナーB2、咬合支持数は7箇所、歯の生涯図では15パーセンタイルですが、すでにホープレスの歯が散見されます。


初診時クラスプ義歯を装着され動揺歯はスーパーボンドによる固定が施されていました。

 

2. 抜歯していくとすれ違い咬合に向かっていき、咬めない状態は続いた。

症例:抜歯していくとすれ違い咬合に 向かっていき、咬めない状態は続いた。



ホープレスの歯を整理していくとすれ違い咬合に向かい、咬めない状態が続いてしまいなかなか主訴の改善にはなりませんでした。
パノラマではいわゆるすれ違い咬合に向かっていることがわかります。

すれ違い傾向症例では、義歯だけの対応、インプラントで咬合支持を増やす対応、加圧要素を減らす対応、自家歯牙移植を用い加圧要素の排除と受圧条件の改善を同時に行う対応が考えられます。


減らす改善には右側上顎の大臼歯の抜歯が必要ですが、根分岐部病変を抱えているとはいえ患者の了解を得る為には多少の時間がいりましたため、先に新たな咬合支持獲得を検討することにしました。

この時点で臼歯部の咬合支持はすべて失いEichnerB4となり、咬合支持は右側犬歯の1カ所のみとなりました。

77歳で高齢ということを考えると当初よりインプラントは選択肢にありませんでしたが、高さが不足した右下と左上顎堤には実際に埋入できる骨のボリュームもないように見えます。

しかし右下4番相当部にはかろうじて高さが確保された骨が確認できます。

 

3. 抜歯前⇒移植後根管治療を終えた状態

症例3


 
頰側転移した右上の3番はカリエスで歯髄炎を起こし、咬合にも参加していないため自家歯牙移植の患者さんへの説明も受け入れやすかったように思います。

左のデンタルは抜歯前の3番の状態。右のデンタルは移植後根管治療を終えた状態です。

 

4. 義歯完成時の写真

症例:義歯完成時


2007年4月義歯完成時の写真です。欠損歯列としては上顎4本、下顎が6本の10歯残存。移植歯を含めた2箇所での咬合支持となりました。

左右的にはやや不安定な残り方となりましたが、義歯を安定させるべく咬合調整を重ねやや左上がりの咬合平面となっています。


患者さんの大好物のとんかつも食べることができていると喜んでいただけました。

 

5. メンテナンス時

症例:メンテナンス時


セットしてから1年5ヶ月後の写真です。大きな変化は見られませんが、咬合調整で左側の人工歯がかなり減ってしまったことと、前咬み傾向なのか前歯部に強く咬合紙の跡が着いています。

 

6. 術後7年半の口腔内

症例:術後7年半


術後7年半の口腔内は舌側歯頚部にプラークが残るものの87歳になる患者さんにこれ以上のことを求めるつもりになれず、だまってメンテナンスをしています。

7. 術後8年半

症例7

2015年の口腔内です。上顎は総義歯になり、下顎は移植歯を含めた6本残存となりました。あと数ヶ月で90歳になる現在でも毎日1時間は歩き、その体力もさることながら気力の強さには本当に驚かされます。

今回、症例に恵まれ下顎を無歯顎にしないという目標は達成されましたが、闇雲に歯を残すことだけ考えていた当初からこの症例で欠損の進み方を目の当たりにし、初診時に10年後の予測やその時の患者の年齢、下顎を優先的に残すこと、咬頭嵌合位が維持できるかなど考えなくてはいけないこと、とらなければいけない対策を学びました。

 

当院のコンセプトは、
生涯の経過観察を通じて、患者さんのお口の健康を守ることです。

患者さんの為、地域医療への更なる貢献の為、
これからも学び精進していきます。